No149 システム企画の重要性

「システム企画」ちょっと聞きなれない言葉かもしれません。しかし、IT投資をする際には、避けて通れない重要なプロセスです。

 

個人における大きな買い物と言えば、住宅や車などです。こうした高額の買い物をするとき、特に住宅のときには、いろいろと考えて購入されると思います。

・生活の場として相応しい立地か(買い物、教育、福祉、など)

・家族構成、家族の将来、などをもとに必要な部屋数は

・洋風にするか、和風にするか

・建売か、注文住宅か

・生活における動線などを考慮した間取りかどうか

・投資額はどのくらいが妥当か

いろいろな物件を見て回りながらこうしたことを考え、物件や建築業者さんを選択されるはずです。こうしたことを考える上で、専門家である不動産屋さんや建築設計士、住宅を建てる工務店さんに相談してアドバイスを求めることも多いと思います。そして、複数の物件や工務店さんから見積もりなどをもらって価格を比較して決定します。

 

企業における様々な投資においても、上記のようなプロセスを経て投資を判断するのが一般的です。しかし、IT投資だけは不思議なことに、こうしたプロセスが十分に行われていないように感じています。

 

IT投資における上記のようなプロセスを「システム企画」と言います。この重要なプロセスが十分に行われていない原因は次のようなことが考えられます。

・社内に専門的な知識を持った人材がいない

ITのことはITベンダーに任せっきりにしている

・他社や業界内の評判だけで判断している

ITを効率化の道具とだけ捉えている

 

これまでのような、手間のかかる業務を効率化するためにIT投資であれば、対象となる業務がはっきりしていることや求める効果も判りやすいため、システム企画を十分に行わずにITベンダーさんに相談することで十分でした。

しかし、ITを単なる道具ではなく、経営の武器として考えるときには、システム企画をしっかりと行うことが必要です。

例えば、「ホームページを開設したが成果が出ていない」というご相談をよく受けます。話をお聞きすると、何を目的にホームページを作ったのか、ホームページで販売する商品は妥当か、その販売方法で利益が出るのか、という疑問が出てきます。つまり、システム企画を十分に行わずに、「いまどきホームページも無いと・・・」「ホームページで商品を案内すれば売上が増える」というように安易な判断でIT投資を行った結果が、相談の内容になるのです。

 

IT経営とは、『ITを活用して、競争力や生産性の向上を実現する』ことです。ITを経営の武器にすることです。しかし、厳密に表現するならば『情報を活用して企業を成長させるために、ITを有効に利用しましょう』ということになります。

企業経営とITが直接結びつくのではなく、その中間に「情報」が存在します。そして、その情報を上手に活用することで、売上向上や在庫削減、業務効率によるコスト削減などの経営的な成果を上げることがIT経営です。経営者は常に情報収集を行い、適切な対策を行っています。「早く知り、早く手を打つ」ことです。

ITはこうしたIT経営を実現するための道具です。情報収集をスピーディーに行えるようにしたり、情報の加工を簡単にするための道具です。

 

インターネットの普及は、情報量、流通の範囲、伝達のスピードにおいて、情報の流通を劇的に変化させました。これがIT革命の本質です。IoT(モノのインターネット)が進化し、第4次産業革命が本格化すると、世の中は大きく変わるように思います。

 

企業の成長を支える縁の下の力持ちがITです。ITは企業インフラの一部です。インフラが充実していないと、成長出来なかったり、成長が鈍ったりします。IT投資は、企業が成長するために必要な設備投資ともいえます。

これからは、経営計画策定の一部としてシステム企画を行うくらい、システム企画が重要な時代になってきます。

 

重要な投資を行うのに、その目的や成果などを十分に検討しないというのはおかしな話です。別の視点で捉えると、システム企画を十分に行わずに、IT投資は不要だと判断するのもおかしな話です。システム企画を行った結果、IT投資は不要と判断したということがあってもいいと思います。

IT投資をするためにシステム企画を行うのではなく、今後の経営を考える上でITをどのように活かせるのかを考えることがシステム企画です。


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